しかし自由な噴水流に対してその排出口に余り近すぎない程度に任意の
対象を障害として設置すると、たちまちマイナスの空中電気が存在する。
この実験をもっと純粋な形で行うために、接地された立方メートル大の
針金のかごの内部に排出口を取り付けたので、噴水流はかご内を通って
後壁の針金の網目の間をくぐり(そのあとさらに窓を通って)自由に外に出た。
かごのおよそ中央には、噴水流が水滴となって落ちる場所があった。
水滴コレクターは、その排出管はかごの中に通じており、その電位は
ハンケルの電位計 (1 目盛り=0.5ボルト)で測定された。
自由な噴水流の場合、電位計には何も明確には示されなかった。しかし、
噴水流がかごの後壁に固定された2cm幅の木板の上に落ちると、次のような
結果が生じた。蛇口を開けた途端、かごの内外の空気に霧が広がり、
電位計はプラスに振れた。この振れは3秒後には+3 目盛りまで伸びたが、
そのあと再びマイナスへと転じ、5秒目には−4 目盛りに達した。いま蛇口
を閉めると、まもなく霧は沈んでいき始め、3秒以内で空気は再び澄んだ。
この3秒の間にマイナスの揺れは−25 目盛りにまで増大し、その後、
ゆっくりと減っていき、完全に消滅した。
電位計のこの動きを説明するにあたってわれわれははじめのプラスの振れの
原因を水しぶきに求めてもよいだろう
(
20
、
21
、
34
)
。
空気の中にある
水しぶきの量は、見れば分かるとおり、きわめてすばやく一定になる
(水しぶきは絶え間なく沈んでいく)。それゆえそれ以上プラスには揺れない。
それに対して、空気中のマイナス電気は常に増大する。プラスの揺れは
大きさを増しながらマイナスへと移行する。噴水流をとめると、
水しぶきとともにプラス電気はすばやく空気中から消え去る。
電位計は同じすばやさでマイナス側へと変化し、それから空中電気が次第に
減っていくのにともなってゆっくりとゼロへと戻っていく。
これに一致して、実験中に空気を力強くかごに吹き付けると、マイナスへは
全く振れない。こうするとマイナス電気を持つ空気はかごから追い出され、
水滴機に作用することができない。残っているのは水しぶきとそのプラス電気
への振れだけである。これはいま+10 目盛りまで達し、噴水流が流れている
間はそれを維持しているが、噴水流を止めて3秒後には再び水しぶきと同時
に消滅してしまう。
木板を排出口にもっと近づけると、水滴になって落ちてしまう前に噴水流を
受け止めるが、全てはこれまでと同じである。ただし、マイナスへの振れの
大きさだけは非常に小さくなった。最大で12 目盛りに達するほどで、プラス
への最大の振れは4 目盛りだった。このとき水はこれまでと同じくらいの量
で飛び散るが、噴水流が個々の水滴になって落ちてぶつかるのは避けられた。
といってももちろん完全にではない。なぜなら、噴水流が木板の表面で砕け
て水滴となったものとこの木板との間ではまだ衝突が起こったからである。
しかし噴水流に鋭いナイフの刃を当てると、噴水流は二つの水の円盤に分か
れ、この水の円盤の端では自由に細かい水しぶきとなって散っていき、この
水しぶきはかごに充満した。このとき、噴水流が流れている間も、その後も、
電位計はマイナスへは全く振れなかった。プラス側へ不規則に振れるのが
観察されただけである。これはおそらく水とナイフの刃の間の摩擦電気で
あろう。ナイフの刃を排出管からもっと離れたところに固定してもまったく
同じ結果だった。
(注12)
水がただ飛び散るだけならば、噴水流が空中を流れ抜けるのと同様に、
作用力はない。平らな障害物にそれぞれの水滴がぶつかるときにのみ、
常に電気作用が生じる。
<注釈>
12.ハイデルベルク市立公園のネプチューンの噴水で似たような観察が
行われた。この噴水の、上に向けられた噴水流は、木々や立像によって
地電位差から守られながら、自由に飛び散り、何立方メートルもの空気を
細かい水しぶきで充たす。この噴水の近くではバーナーコレクターと
Exnerの検電器では電気を測定することはできなかった。一方、
もはやほとんど水しぶきとならないたいていの滝においては、空中電気は
極めて大きかったので、この電気の証明のためにバーナーコレクターは
必要なかった。
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