Abstract
Pierre CurieとJacque Curieの論文要約
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A. 傾いた面をもつ半面像結晶の加圧による分極電気の形成
B. 傾いた面を持つ半面像結晶の分極電気について
C. トルマリンを加圧した時の電気の出現則
D. トルマリン及び傾いた面を持つ半面像結晶の電気的現象について

D. トルマリン及び傾いた面を持つ半面像結晶の電気的現象について

ジャック・キューリーおよびピエール・キューリーによるノート(紹介者:フリーデル)
1881年

I. トルマリンに関する優れた論文を発表してから、数年後に、ゴーガンは熱電気の現象論を発表 した。彼は、温度変化中のトルマリンを、非常に内部抵抗が大きく、かつ非常に起電力の大きい熱 電堆に模して考える。似たような熱電堆の存在し得る事を示すために、彼は小さなビスマス錐と銅錐 を交互に頂点と頂点、底面と底面を溶接したものを作らせた。 この温度を変えていくと、狭い溶接面は広い溶接面よりも、より速く影響されるので、このシステム は、瞬間的には、一対の熱電堆を構成する事になる。ゴーガンはトルマリンの各分子配列を、これで 模した。実際、よく分かるように、この概念で、彼が打ち立てた定量則を理解できる。しかしながら、 この概念は、受け入れ難い点もあるように思われる。第一に、これでは加圧による電気現象を説明で きない。第二に、電気の出現は、トルマリンのプリズムの側面ではなく、底面だけで見られると言う 事実と一致しない。このことは、以下の実験で、実証できる。

   もし長いトルマリンの二つの端面を錫箔で覆って、これをアースした状態で、電気を出現させたと しても、側面での電気の出現を、電位計につないだ金属環で確認することはできない。金属環をごく 端面近くまで近づけたとしても、状況は変わらない。これに対して、側面を錫箔で覆って、それを アースしても、しなくても、端面に出現する電気量は変わらない。

   ゴーガンは、二つの端面中、一つは孤立させ、もう一つはアースして、結晶の中央部分に白金線を 巻いて、それを電位計につないだ。彼は、冷却中に、ここに孤立した端面と同じ向きの電気が出現 する事を確認した。この実験は、前述のそれと何ら矛盾するものではない。孤立端に出現した電気は 結晶の先端層に帯電して、そこがコンデンサーの極板の働きをする。この場合、結晶が薄い絶縁層と なる。同じ向きの電気が白金線にも出現するので、反対向きの電気が出現し、蓄えられるが、これを 証明するのは、簡単である。そのためには、白金線の電気を逃がして、これを電位計につないでから、 それまで孤立していた端面の電気を逃がしてやればよい。そうすると、貯まっていた反対向きの電気 は、白金線を通して電位計に変化を与える。

II. 1825年以降、多少とも漠然とながらベクレルやホーブスなどによって提唱されていた分子分極 の仮説によれば、この現象を、ゴーガンの説以上にうまく説明できる。更に以下にトムソンの説を 紹介する:彼の考え方は、かつてのホーブスの説と同じように、分子は、いつも分極しており、 トルマリンの表面に集まっている電気層は、外からみれば中性化している。熱は分極状態に変化を もたらすので、中性状態が崩れる。

   我々の考え方も似たようなもので、分子が分極しているという考え方は、電気の出現が端面だけに 限られるという事実と完全に一致する。実際、母線に平行方向に、一様に分極した分子からなる 円柱は、二つの端面上に帯電した2層によって置き換え得ることがわかる。

   さてここで分極の原因とその変化を、より明確化してみよう。その際、仮定として、分子層は積み 重なっていて、相対峙している分子層の2面間には一定の電位差が存在しているとする。当然、面は 帯電するが、この量は分子層間の距離で変わってこよう。ここで何らかの方法(圧力や温度変化)で、 この距離を変えてやれば、帯電した電気量は変化しよう。

   上記のモデルを考えるのに適したシステムは、銅―亜鉛(ヴォルタ電池の要素)を溶接した薄片を、 同一厚さの空気層をはさんで、同一方向に積み重ねたものであろう。

   さて、ここで、空気層の厚さをe、銅―亜鉛接点の起電力をνとしよう。

   最初に、全ての薄片をアースしてから積み重ねると、これらの層が十分に接近している限り、 隣りあっている2層の、相対している各面に貯まる電気量は、q=v/4πe で 表される。もし層間の距離か変わると、この量は、

q+△q=v/4π(e+△e)

   両端にある薄片は、向きの違う電気量、△q=v/4π[△e/e(I+△e/e)] を外へもらす事になる。内部に位置する薄片については、各片の中で現れた向きの違う電気が、 中和してしまう。我々が興味を持つ場合である各片が絶縁されている時でも、結果は同じである。

   ここで最後の式で1の後に出てくる項、 △e/e を省略するとすると、出現する電気量は、 隣り合った層間の距離に比例し、表面積に比例し、層の数、即ち、試料柱の厚さには無関係とい う事になる。この法則こそ、トルマリンの実験で得られた法則に他ならない。

III. 我々以前に提議された仮説を検証して、現象の解釈で、我々にとって最も確からしい と思われるものを数式化して、結果を求めた。もっとも、仮定には、疑問点もあるが、それは無視 した。

   出発点とした仮定は、隣り合った2層の相対する面の間には、一定の電位差がある。

   トルマリンは、合成された物質であり、結晶化している分子の、異なった部分は、異なった物質から 作られている。これで二つの分子の相対している面での、電位差を説明できよう。

   さて物質が均質であれば、分子の形状だけが、上記仮説を正当化するための十分条件と考えられる。 更に、以前の説明よりも、この説明の方が、実験結果とより良く一致するといい得る(通常の考察は、 多分、より分子自身へと適用されよう)。

   実際、どんな理論であれ結晶理論では、結晶形の特異性に見られる結晶の非対称性は、分子に原因が あるという点では一致している。とはいえ、我々が示したように、実験した全ての非電導性半面像 物質では、出現する電気の向きは、常に結晶形と関連があり、最も鋭い立体角に相当する端面が、 膨張時に負に帯電する。この一定の関係は、多分、偶然によるものではないだろうし、分子形状と、 結晶の半面像形状の間に、類似性があることを認めれば、以下の考え方に到達しよう。即ち、分子の 尖った先端は、分子の反対基底面に対して、上記で説明した類似例で、常に銅に対する亜鉛の役割を 演じている、言いかえれば常にプラスに帯電していると。従って、材料の特性は、思考の線上には 入ってこず、分子の形状が、圧倒的な影響力を持つように思える。


(論文名)
Sur les phénomènes électriques de la tourmaline et des cristaux hémièdres à faces inclinées. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, présentée par M . Friedel.
(掲載誌)
Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences,92(1881) 350
(所蔵)
The British Library
(訳)
科学技術振興事業団
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