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空気イオンの基礎(2)

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A. 空気イオンの様々な生成要因

大気中の空気イオンは、様々な要因により生成される。 また、生成と消滅を絶えず繰り返す中で、ある程度平衡が 保たれているというのが実体である。

(1)  紫外線による生成

紫外線が気体を通過する時に、気体を強くイオン化することによる。
(レナード、トムソン、ブレンリー等による研究)

大気の上層部では、この紫外線による強度イオン化現象が確認される。 10(km)上空では、地表よりも約10倍強くイオン化されていると 言われている。こうした高濃度イオンは、地表に向かって拡散するが 速度が遅く、 プラス、マイナスイオンが互いに再結合を起こすため 地表付近では低濃度となっている。



(2)  レナード効果(滝効果)による生成

水はその表面積を変える時、例えば水滴がさらに小さな水滴に 分裂する時、 分裂した水滴自身はプラスに帯電し、周囲の空気はマイナスに帯電する。 これをレナード効果(Lenard's effect)という。

水滴の表面には電氣二重層が常に存在し、水滴表面はマイナスに、 これと接する外側の空気はプラスに帯電している。

(分裂などで)新しい水面が空気に触れると、上記の電氣二重層のため、 空気中のプラスイオンが水滴面の外側に奪われてしまうため、 結果として空気はマイナスに帯電する。 このため、マイナス空気イオンが生成される。



(3)  太陽光線による生成

光電効果(個体にある波長の光が当たると電子を放出する現象)により、 イオン生成が行われる。 これは、空気中の分子に電子が衝突することにより、その分子をイオン化する ものである。

地表付近では著しく光電効果を起こす物質は少ないため、実際に光電効果が イオン化に起因する割合は少ないといわれる。



(4)  放射性物質による生成

地表付近でのイオン化要因の主なものである。

(A)α線
プラスに帯電した微粒子で、ヘリウム原子が二個の電子を失ったものである。 気体中を通過する時、気体分子と衝突してこれを強度にイオン化する。

(B)β線
これは電子であってマイナスの電氣を持っている。 気体中を通過する速度は非常に速いが、イオン化作用はα線ほど強くはない。

(C)γ線
非常に短い波長を持った電磁波で、X線よりも透過力が強いが、イオン化作用は X線と同等である。



(5)  エマナチオンについて

地中にはラジウム系の物質(ウラニウム、ラジウム、アクチニウム 、トリウムなど)が広範囲に渡って存在し、 これらの崩壊物質が気体となって地殻を通して 現れたものを「エマナチオン」という。

エマナチオンは大気中に出るとさらに崩壊して、この時に α線、β線、γ線 を放出して空気をイオン化する。

気圧が高気圧から低気圧に変化する時に、マイナスイオンが発生するのは、 地中の空気が気圧の変化により、 エマナチオンとともに吸い出されるためである。



(6)  大気中のイオンバランスについて

空気イオンの発生は、自然の様々な現象によって起こるが、多くは プラス、マイナスの両イオンが対になって発生する。

但し、大気をプラスイオンだけに変える現象は殆ど無いのに対して、 マイナスイオンだけを生成する現象としては、レナード効果やβ線放出 などがあり、 本来、イオンの割合としてはマイナスイオンの方が多くなる。

しかし、実際には大気汚染が進むにつれて、重イオンの再結合により マイナスイオンが消失し、 イオンバランスが崩れてきていると言える。

B. 実際の空気イオン

前項目の「空気イオンの様々な生成要因」において、空気イオンの生成要因を述べたが、地表付近においては、実際にどのように空気イオンが発生しているのだろうか?

(1)  マイナスイオンの生成

大気中の宇宙線や放射線が、空気中の分子に衝突した時に これらの分子から電子が放出される。 放出された電子は、空気中の分子(酸素、炭酸イオンなど) に吸着してマイナスイオンとなる。 実際には、空気中の水分子と結合して安定した状態で 存在する。

一般的に小イオンは、下記のような形態をとる。

酸素分子核イオン → O2-+(H2O)n
炭酸分子核イオン → CO3-+(H2O)n
硝酸分子核イオン → NO3-+(H2O)n

上式においてO2-、CO3-、 NO3-は、中性であった空気中の分子が 電子を受け取ったことを表す。
また、(H2O)nの「n」は水分子の 数を表し、湿度などにより変化する。

なお、これらの小イオンが質量の大きな微粒子に吸着したものが 大イオンである。



(2)  プラスイオンの生成

代表的なものとして、水素イオンと水分子が結合した オキソニウムイオンが核となったものが挙げられる。

水和したオキソニウムイオン → H3O++(H20)n


C. 空気イオンの減少要因

空気イオンが減少する要因としては、大きく分けて下記の現象による。

(1)  逆符号イオンとの再結合

空気イオンは、逆符号のイオンにより再結合し、 電気的に中和してイオンの性質を失う。



(2)  拡散

空気イオンは、イオン濃度が濃い方から希薄な方へ拡散して 次第に均質になる傾向がある。一般に小イオンでは、プラスイオンよりも マイナスイオンの方が拡散していく速度が速い。 つまり消失までの時間が速い(寿命が短い)と言える。



(3)  吸着

小さな微粒子(埃、塵、水蒸気等)は 空気イオンに吸着することにより、 イオン密度を低下させ移動度を小さくする。
また、吸着スピードは拡散の速さ、即ちイオンの移動度により定まる。
一般に、プラスイオンよりもマイナスイオンの方が、その移動度が 大きいため、吸着現象はマイナスイオンによるものが主である。



(4)  電場の作用

空気イオンは電場の作用によって移動する。 但し、雷の発生等の特別な場合を除いては、通常電場による影響は さほど大きくないと言われている。

D. 発生条件について

大気中の空気イオンは、様々な要因により生成される。 また、生成と消滅を絶えず繰り返す中で、ある程度平衡が 保たれているというのが実体である。

(1)  湿度について

「実際の空気イオン」にて述べたように、イオン化した空気中の単分子は、実際には空気中の水滴(水分子)に付着し存在している。

このことから、湿度が極端に高いと水滴の再結合が起こって その数が減少し、結果として空気イオンとしての数が減少する。 また、低湿度においては、当然空気イオン媒体としての「水滴」 が少なくなるため、空気イオンは減少する。

よって、空気イオンの発生条件としては、 高湿度、低湿度は 不利であり、一般的には相対湿度で40〜60(%)程度が 理想と言われている。



(2)  温度について

温度については、高温になるとプラスイオンが増加するなどの データもあるが、地表が暖められることにより、含まれていた 水分が蒸発した時にはマイナスイオンが発生するなど、 温度条件ついては一定の傾向は見られないようである。



(3)  気圧について

気圧については、気圧の絶対値よりも 気圧の変化がイオンの発生に大きく影響する。

気圧が、高→低と変化する際に、地中の 放射性物質が気体となって地表に吸い出され、これが マイナスイオンを生成する。



(4)  風の影響について

風が吹くことによって、空気中の水分子集団(クラスター)が 粉砕され、この時マイナスイオンを発生する。 室内の換気を行った時に、空気に清涼感を感じる理由の一つである。

E. 霧の核としてのイオン

(1)  肉眼で見るイオン化作用

空気イオンの大きな特徴の一つとして、イオンが霧の 生成の際、 その核となることが挙げられる。

過飽和の水蒸気を含んだ空気中にイオンが存在する時、 イオンが核となって小水滴が生成され、これが肉眼で 見えるようになる。
(ウィルソン氏霧箱−Wilson's cloud chamber



(2)  イオンによる核としての能力差

核となる能力については、プラスイオンよりもマイナスイオンの 方が高い。また、これらの能力差は、イオンの荷電量の差による ものではなく、水滴の持つ電気二重層に起因するものである。

F. 大気の伝導度と電場

(1)  大気の伝導度と電場

大気中の電界内にイオンが置かれると、大気中に電流が流れる。 大気中に存在するイオンは、大イオン及び小イオンの2種類があるため、 正負それぞれ併せて、4種類のイオンの流れが存在する。

いま、大気中の電界Fにおいて、イオンにより流れる総電流 itを考えてみることとする。

4種類のイオンがそれぞれ異なる移動度・イオン量を持っているものとし、

[各移動度]
k+−−−プラスの小イオン
k-−−−マイナスの小イオン
K+−−−プラスの大イオン
K-−−−マイナスの大イオン

[各イオン量]
n+−−−プラスの小イオン
n-−−−マイナスの小イオン
N+−−−プラスの大イオン
N-−−−マイナスの大イオン

とする。

この時、各イオンにより流れる電流はそれぞれ、

[各電流]
en+Fk+−−−プラスの小イオンによる
en-Fk-−−−マイナスの小イオンによる
eN+FK+−−−プラスの大イオンによる
eN-FK-−−−マイナスの大イオンによる

となる。

総電流 it は、上記の各電流の総和をとればよいので、次式(A)により表される。(eは電気素量4.77X1010
it=(en+Fk+)+(en-Fk-)+(eN+FK+)+(eN-FK-

=F(en+k++en-k-+eN+K++eN-K-)−−−−−(A)
ここで、
λ+=(en+k++eN+K+) −−−−−(B)
λ-=(en-k-+eN-K-) −−−−−(C)
λ=λ+- −−−−−(D)
とすると式(A)は、
it=F(λ+-)=Fλ −−−−−(E)
と表すことが出来る。

λ+、λ-の各項は、電界と電流密度の比になっているので、電気伝導率を表している。 λはこれらの和である。

各々の伝導率を下記のように呼ぶ。

[各伝導率]
λ+・・・正の偏伝導率
λ-・・・負の偏伝導率
λ・・・全伝導率(又は単に伝導率)

伝導率の単位はSm−1である。



(2)  環境による伝導度

仮に、清浄な空気中を想定して、

n+=600
n-=600
N+=2,000
N-=2,000
k+=1.5(cm/Vs)
k-=1.5(cm/Vs)
K+=0.0004(cm/Vs)
K-=0.0004(cm/Vs)
とすると、

式(B)、(C)の第一項と第二項の比 ekn:eKN は、

ekn:eKN=1,125:1

となる。
これは、 清浄な空気中においては、電気伝導の大部分は小イオンによるものであることを示す。

これに対して、空気の汚れた場所、つまり、仮に両極イオンについてnを100、Nを50,000 と仮定して計算すると、

ekn:eKN=7.5:1

となり、 大イオンが電気伝導の一部を担うことを示す。

 
文・イオントレーディング店長 根本政春
(1996年 有限会社ユニバーサル企画入社)
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3.空気イオンの測定理論
目次 空気イオン理論
1.空気イオンの基礎(1) 2.空気イオンの基礎(2) 3.空気イオンの測定理論
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