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焦電効果について(事(辞)典等での解説)

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焦電気(「物性科学事典」)

焦電気 しょうでんき
pyroelectricity

結晶の中には電場をかけなくても、温度を変えただけでその表面に正負の電荷が現れる ものがあるが、この性質を焦電気(ピロ電気、パイロ電気などという)といい、 電気石(tourmaline)などで古くから知られている現象である。このような性質を示す 結晶は32晶族のうち10種類の点群(C6v-6mm、C6-6、C4v-4mm、 C4-4、C3v-3m、C3-3、C2v-2mm、C2-2、 CS-m、C1)に属するものに限られており、それらを極性結晶という。 極性結晶では、それを構成する原子の正負の電荷の重心が一致していないため、外部電場なしでも 自発分極している。通常、自発分極PSは外部から飛来する空間電荷などによって 中和されているが、温度を変えると結晶を構成している原子の位置も変化するので、 自発分極の大きさもそれに応じて変化する。その変化分儕Sが表面に電荷として 現れ、観測にかかる。ただし、極性結晶に属する物質でも、儕Sが非常に小さい 場合や、導電性が高い場合はそのような電荷は直ちに中和されてしまうので、焦電気は認識 出来ないこともある。儕S=(dPS/dT)儺=P(T)儺としてP(T)を 焦電率(pyroelectric constant)と呼ぶ。P(T)の大きさは、Li2SO4・H2Oで 7.7X10-5C/(m2・K)、 電気石で0.35〜0.44X10-5C/(m2・K)程度(室温)と報告されている。 P(T)が大きく絶縁性が高い物質では、発生した電荷により試料自身が充電されて非常に高い電圧を 発生するものもある。焦電気の測定は、焦電荷を電位計で測定したり、焦電流を検流計で測定 して行う。焦電体は温度センサーなどに応用されている。なお、強誘電体とは、必ず焦電性結晶 であり、その中で外部電場を加えることにより、その自発分極の方向を反転できるもののことを いうが、焦電性結晶であっても強誘電体であるとは限らない。   (高重正明)


[参考文献]
「物性科学事典」(東京大学物性研究所) P.444〜P.445(東京書籍株式会社 1996年2月29日第一刷発行)

ピロ電気 (「岩波化学 理化学辞典 第5版」)

ピロ電気

パイロ電気、焦電気ともいう。結晶の一部を熱したとき表面に電荷が現れる現象。 1756年エピヌスによってはじめて電気現象として知られたとされているが、 それ以前に発見されていたともいわれる。異極像晶族 2、mm2、3、3m、4、4mm、6、6mm だけにおこり、電気石で最もいちじるしい。同種の結晶では結晶学上同種の軸端に 常に同種の電荷が現れる。温度を上げるとき正に帯電する端を同類端、反対に帯電する 端を異類端という。異極像晶族の結晶は自然の状態で分極していて、表面の分極電荷 が付着したイオンなどで中和されており、温度を加えると分極の大きさが変わって、 変化分が観測されるのである。


[参考文献]
「岩波化学 理化学辞典 第5版」(長倉三郎 井口洋夫 江沢洋 岩村秀 佐藤文隆 久保亮五) P.1140(株式会社岩波書店 1998年2月20日第5版第1刷発行)

焦電気(「物理学辞典」)

焦電気

誘電体結晶を加熱すると、表面に分極電荷が現れる現象。ピロ電気あるいはパイロ電気ともいう。 自発分極している結晶のもつ性質である。自発分極をもつ結晶の分極電荷は、ふつう表面に付着した 空気中のイオンなどにより、中和されているが、温度を変化させると、分極の大きさが変わるため、 表面電荷の変化分だけが観測されるものである。自発分極が存在するためには、分極の方向として 結晶のすべての対象操作に関して保存される方向が存在する必要があることから、焦電性を示す のは32種の結晶群のうち、三斜晶系:C1、単斜晶系:Cs、C2、 斜方晶系:C2v、正方晶系:C4、C4v、三方晶系:C3、C3v 六方晶系:C6、C6Vの10種である。焦電性の結晶は、同時に歪みにより分極電荷 が変化する圧電性(⇒圧電効果)をもつ。しかし、圧電性をもつ20種の結晶群のうち、自発分極を もつ10種だけが焦電性をもつ。焦電性の大きさは、Pを分極、Tを温度、Eを電場としてp=(δP/δT)E=0 で定義される焦電定数で表される。たとえば、チタン酸バリウム(BaTiO3 , セラミック)の場合、 p≒2X10-4C・m-2・K-1である。


[参考文献]
「物理学辞典」(物理学辞典編集委員会) P.945(株式会社培風館 1992年5月20日改訂版発行)

パイロ電気(「ロングマン物理学辞典」)

パイロ電気

ある種の結晶において温度が変化するとき、分極の軸の両端に、それぞれ正負の 電荷がたまる現象。そのような結晶(たとえば電気石、硫酸リチウム)は対象の 中心をもたない。
[自発分極をもつ結晶においては、表面の分極電荷は空気中のイオンなどにより 中和されているが、温度を変えることにより分極の大きさが変化して、その変化分が パイロ電気(焦電気、ピロ電気ともいう)として観測される。]


[参考文献]
「ロングマン物理学辞典」(清水忠雄 清水文子 監訳) P.488〜489(株式会社朝倉書店 1998年2月10日初版第1刷発行)

焦電気(「第2版 MARUZEN 物理学大辞典」)

焦電気

ある種の結晶に見られる温度変化により電気的極性が現れる性質。ある種の誘電的(電気伝導性のない)結晶では、 一様な温度変化儺によって、電気分極(単位体積あたりの双極子モーメント)儕が現れる。微小な変化儺に対し、 分極ベクトルの成分儕iは式(1)で与えられる。
i=Σpi儺 (i=x,y,z)   (1)


この焦電気効果は、対称心を欠き、極性方向(すなわち極性軸)をもつ結晶だけに現れる。 この条件は32種類の結晶点群のうち10種が満たしている。焦電気結晶の典型的な例として、 電気石、硫酸リチウム−水和物、焦糖、強誘電性チタン酸バリウムがあげられる。 (→結晶構造、誘電体物質、誘電体の分極)

焦電気結晶は本来固有の、言い換えれば永久的な電気分極をもっていると考えられる。 結晶が一定温度に保たれているときは、この分極は表面には現れない。それは、周囲及び結晶 を伝わって表面に到達した自由電荷により、打ち消されてしまうからである。しかし、結晶の 温度が変わると永久分極は変化し、その変化分が焦電気として表面に現れる。電場により分極が 反転する強誘電体と呼ばれる特別な焦電気結晶を別にすると、永久分極の大きさを決めることは 容易でない。(→強誘電体)


大きさ
焦電効果の大きさは、その結晶の熱膨張が束縛されているか、あるいは機械的に自由であるかと いうことに依存する。束縛結晶では、一次の焦電気効果がみられ、自由結晶では一次効果に二次 効果が重なって起こる。二次効果は熱膨張により引き起こされる圧電分極と考えられる。 一般に二次効果は一次効果よりかなり大きい。加熱が一様でない場合には、自発分極をもたせない 圧電結晶も温度勾配、およびそれに対応する一様でない応力とひずみにより分極を生ずる。 この現象は三次、あるいは偽の焦電気と呼ばれる。その理由は極性方向をもたない非焦電気結晶 にも起こりうるからである。(→圧電気)
電気石のような典型的な焦電気結晶では、室温における1℃の温度変化により、約10-5C/m2の分極 が生ずる。温度一定の条件で同じ大きさの分極を生じさせるには、約70kV/cmの外部電場の印加が 必要となる。焦電気効果は強誘電体では非常に大きく、特にキュリー点付近の温度では、それが 顕著になる。焦電気効果は、レーザー用焦電熱量計や高感度の赤外検出器などの応用がある。 焦電気係数を誘電率で割った性能指数は、たとえば硫酸グリシンのような強誘電体で高い値を示す。 熱的な応答時間については、2μsあるいはそれ以下の時間が報告されている。

逆効果
熱力学的考察により、焦電気効果はその逆効果として線形な電気熱量効果をもつことが示される。 外部印加電場僞により永久分極が変化すると式(2)で示される温度変化儺が生じる。
ここで、ρは密度、cpは定圧比熱、ρiは焦電気係数、Tは絶対温度である。 典型的な焦電気体にみられる温度変化は0.01℃程度の大きさである。

〜以下略〜



[参考文献]
「第2版 MARUZEN 物理学大辞典」(物理学大辞典編集委員会/編集委員長 牧二郎)(丸善株式会社 平成11年3月31日第2版発行)

焦電気(パイロ電気)(「静電気の事典」)

焦電気(パイロ電気)

結晶の一部を加熱したとき、その表面に電荷があらわれる現象で、1756年Aepinusによって 発見された。異極像晶族 C1、Cs、C2、C3、C4、 C2v、C3v、C6v の結晶だけに発生し、電気石で最も著しい。 同種の結晶では同種の軸端に常に同種の電荷があらわれる。温度上昇でプラスに帯電する端を同類端、 マイナスに帯電する端を異類端という。異極像晶族の結晶は自然の状態で分極しており、結晶表面の 分極電荷は付着した対イオンなどで中和化されている。温度を変えると分極量が変化し、その変化分が 焦電気として観測される。
*正方晶系、六方晶系や斜方晶系結晶の上下軸に沿って上・下の方向、または単斜晶系結晶の左右軸 に沿った右・左の方向が結晶学的に同価でない場合(たとえば軸の両端にあらわれる面の性質の 相異する場合)、その結晶を異極像晶族(hemimorphic crystal form)という。
焦電気の基本式は次の形で与えられる。σをエントロピー、θを温度とすると
(記号は圧電気の項参照)
焦電率pは電気分極の温度変化D/刄ニであるが、また電気熱量効果の係数刄ミ/Eに等しい。 熱膨張係数αE=S/刄ニはピエゾ熱量効果の係数刄ミ/Tに等しい。CT,Eは 比熱である。 束縛状態(S=0)での焦電率pSと自由状態での焦電率pTとの間に
pT=pSECEd
の関係がある。ここでpSを一次の焦電率と呼ぶ。第2項は二次の焦電効果をあらわす。 すなわち、温度変化によってひずみαECEを生じ、ひずみによって 圧電分極があらわれる。束縛状態で観測される焦電効果が一次の焦電率を与える。高分子の 焦電性は二次の効果による場合が多い。表は高分子物質の焦電率の値を示す。

物質p(μC/m2・K)
骨、腱(コラーゲン)3X10-3
PZT(セラミックス)600
PVDF(ポリフッ化ビニリデン)30
PVC(ポリ塩化ビニル)4




[参考文献]
「静電気の事典」(上田實)(株式会社朝倉書店 1988年4月20日初版第1刷発行)
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