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ジャック・キューリーおよびピエール・キューリーによるノート(論文)

Index

傾いた面をもつ半面像結晶の加圧による分極電気の形成

[ジャック・キューリーおよびピエール・キューリーによるノート(紹介者:フリーデル)1880年]

A.
結晶が一つもしくは幾つかの軸を持ち、その軸端が異なっているものがある。 即ち傾いた面を持つ半面像結晶で、特異な物理的性質を示す。それは温度変化を加えた時に、 上記軸端に、ふたつの反対名の電極が発生すること、即ち熱電気という名前で知られた現象である。

我々は同じ結晶を用いて、半面像結晶軸方向に、加圧するという新しい方法で、分極電気を起こすこ とに成功した(1)。

生じた効果は、熱による効果と全く類似である。加圧して行くと、今取り扱っている軸端に、異極の 電荷が蓄えられてくる。結晶を中立状態に戻してから、それを減圧して行くと、同じ現象が再現され るが、極性は反対になる。加圧時、正に帯電した軸端は、減圧時、負に帯電し、これは繰り返される (2)。

実験のために、実験しようとする物質中の半面像軸に垂直に、平行な2面からなる試験片を切り出す。 これらの面を錫で覆い、外から2枚の硬質ゴム板をかぶせて絶縁する。これを、例えば、万力の歯で 挟んで締め付ければ、切り出した2面間に、即ち、半面像軸方向に加圧できる。電気の発生を確かめ るために、ここではトムソンの電気測定法を用いる。 針に既知の電気量をチャージしておけば、それぞれの錫電極箔を測定器の二つのカップル部分につな ぐことで、軸端の電位差を知り得る。このようにすれば、それぞれの電気を別々に知り得る。このた めには、一方の錫箔を接地し、もう一方を針とつなぎ、一方、測定器の二つのカップル部分は電池で 充電しておけばよい。

今のところ、この現象を支配している法則の研究は終わっていないが、その特徴は、ゴーガンが、 トルマリンの優れた研究で定義した熱電気のそれと同じといえる。

[ここまでの注釈]
(1) 鉱物学会の論文
(2)傾いた面を持つ半面像結晶は、熱電気を示す唯一の結晶グループである。これらはまた、 加圧によって、分極電気が得られる唯一の結晶グループでもある。スパット(Spath)のような、 ある種の完面像結晶は、加圧すると帯電するが、一面だけで、上記の現象とは全く異なった表面 現象であり、その効果は、我々の実験条件下では、感知できない。

B.
我々は、一連の非電導性物質で、傾いた面を持つ半面像結晶を用いて、分極電気の発生に 関する二つの様式について、比較実験を行った。これらの結晶は、ほとんどが熱電気特性を示す ものである(1)。

熱の作用は、フリーデルによって示された、非常に簡便な方式で研究した(2)。

実験は、閃亜鉛鉱、塩素酸ナトリウム、方硼石、トルマリン、石英、カラミン、トパーズ、 酒石酸〔右旋廻〕、砂糖、ロッシェル塩を用いて行った。

全ての結晶で、加圧によって生ずる効果は、冷却で生ずる効果と同じ向きであり、減圧で生じる それは、加熱で生じるそれと同じ向きであった。

このことから、ふたつの場合は、はっきりした関係があり、現象は一つの理由に帰さるべきで、 このふたつは、以下の要約にまとめられよう。

“決定要因は何であれ、傾いた面を持つ非電導性半像面結晶が圧縮されると、必ずある向きの分極が、 また、引き伸ばされると、必ず反対の向きの分極が生ずる”。

この見方が正しいとすると、加圧による効果は、半面像晶の軸方向に、マイナスの熱膨張係数を持つ 物質を加熱した時の効果と同じ向きであるべきである(3)。

[ここまでの注釈]
(1)このような特性を持つ結晶は、人工的に作った結晶の中にも、多く見られることが 予見される。例えば、偏向光上の活性体は、その中のある直径が、違った軸端を持つ結晶になる。
(2)鉱物学会の論文 (1879)
(3)この仕事は理学部の鉱物学研究室で行われた。

[論文名]
Développement, par pression, del'électricité polaire dans les cristaux hémièdres à faces inclinées. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, présentée par M . Friedel.
[掲載誌]
Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences,91(1880) 294
[所蔵]
The British Library
[訳]
科学技術振興事業団

傾いた面を持つ半面像結晶の分極電気について

[ジャック・キューリーおよびピエール・キューリーによるノート(紹介者:デサン)1880年]

A.
前々回の会合で、我々はアカデミーに対して、傾いた面を持つ半面像結晶の分極電気発生の 新しい様式に関する記述を提出した。我々が示した事は、これまでの既知の場合全てで、温度変化 で生ずる効果の向きと、圧力の変化で生ずる向きとの間には、一定の関係があること、この現象を 一般的に言うと、支配している力は何であれ、傾いた面を持つ半面像結晶が収縮する度に、或る向き の電気分極が、膨張する度に、反対向きの電気分極が形成される。

さてここで、実験した全ての非電導性物質では、この向きは、半面像晶の切子面の位置と関連して いることを示そう。このためには、結晶形の特徴、電極の位置の観点から、熱電性結晶を概観して みよう。以下に列記した大部分の結果は、長期間に色々な人々によって求められたもので、我々が 求めたものではないが、これを見返すことは、既知の事実の中で、改めて一致点を見出すと言う点 で必要である。

B.
立方晶系――この系に属する傾いた面を持つ半面像結晶は、立方体の4つの3回対称軸という 4つの半面像晶軸を持つ。これらの軸は、同時に電気分極軸でもある。

ブレンド(フリーデル)――半面像晶形は四面体である。小さな四面体を用いて、我々は,圧縮時に 現れる正極が、ほぼ頂点に位置し、負極はほぼ基底面に位置する事を見出した。

ナトリウムの塩素酸塩――ブレンドの所で述べた事が、そのまま当てはまる。

ヘルバイト――同上。この鉱物については、単に基底面からの、加熱作用だけしか実験できな かった。結晶はすでに脈石内でひび割れしているので、加圧は不可能であった。

六方晶系。トルマリン――主軸は、半面像晶軸と共に、電気分極軸である。その一端は半円より 低い押し下げ形の菱面体(b1)で、他端は、尖った菱面体(e1)で終わっている。圧縮した時の 正極は、頂点側(e1)に現れる(Hauy)。

石英――傾いた面を持つ半面像晶の形状はジ-トリ面像晶(ditriedre)である。ここには、六方晶 プリズムの稜から、反対側の稜に至る、水平向きの3本の半面像晶軸がある。もし ジ-トリ面像晶を水平面で切ったとすると、切断面は正三角形になる。正三角形中の3本ある高さは、 分極電気の方向、従って、半面像晶軸方向となる。圧縮時に現れる正極は、3角形の頂点側に、又、 圧縮時に現れる負極は底面側に来る(フリーデル)。

斜方晶系.トパーズ(フリーデル)―― 垂直軸は、半面像晶軸、即ち分極電気軸である。 一つの結晶は、その一つの先端で、非常に顕著に発達した切子面、e1及びa1(時には半面像晶) を示した。一方、他端では、このような事は認められなかった。更に、後者の先端は、光沢があって、 輝いていたのに対して、前者のそれは、ざらざらしていて、輝きに欠けていた。我々は、圧縮で正極 が出る所は、切子面でe1及びa1が最も顕著に出ている先端付近であることを確認した。しかし、現象 の向きを確かめるためには、この実験を、本当の半面像晶で繰り返す必要があるが、残念ながら、 そのような結晶はまれである。

カラミン――垂直軸が、半面像晶軸と分極電気軸である。先端の一つが基底面、pで、その半面像晶 の切子面は、e1及びa1で形成される。もう一つの先端は、尖った八面体、e3で形成されており、 圧縮時に現れる正極は、後者の頂点近くに位置する(Hauy)。

ロッシェル塩――最も普通に見られる半面像晶の形は、四面体、b1/2である。分極電気軸は、 この四面体の頂点から、基底面に向かっている。従って、これらの軸は、如何なる結晶軸とも一致 していない。これらの正確な方向については、我々はまだ決定していない。四面体は不規則で、 理論からの推定も不可能であり、それを実験的に求めることは、隣の方向にも出現してくる電気量 を、非常に丹念に測定する一連の実験が必要である。更に、

これは、我々が関心を持っている問題にとって、重要性が無い。軸は四面体の頂点から、基底面内 の一点に向かっている事が分かっていれば、十分である。

単斜斜方晶系。右旋回酒石酸――水平軸が半面像晶軸であり、分極電気軸でもある。e1面は先端に 位置し、それ以外には無い。圧縮時に現れる正極は、半面像晶の切子面のある側に形成される。

砂糖――酒石酸のところで述べた事が、そのまま当てはまる。

擬立方晶物質、方硼石――4面体の面を持つ立方12面体をとる。分極電気軸は、立方体の4つの3回 対称軸である。圧縮時の正極は、4面体の基底面に生ずる(Hauy)

C.
これらの結果を比較してみると、方硼石という例外はあるものの、実験した全ての物質で、 圧縮時の正極は、半面晶像の切子面――これは最も鋭い角度を形成しているもの――を持つ分極 電気軸の先端に現れる事がわかる。方硼石は例外で、反対に、上記事実に対して、興味深い事実を 示している。結局Mallardは、この物質の光学的性質を研究して、

この物資は、結晶学的には立方晶の対称性を持っているものの、実際には12個のピラミッドが並置 され、複雑に絡み合っている事を示した。これらのピラミッドは、半面像晶の6個の斜方柱からなり、 その半面像晶軸は、立方体の稜に平行である(1)。

ここではこの分類を、これ以上詳しく説明しないが、 一つ注意しておきたいことは、擬立方体の 3回軸のそれぞれ半分には、3個のピラミッドが並置されていることである。擬4面体の切子面の ある側、即ち、3個のピラミッドの半面像晶軸で修飾された先端は、3回軸の所に位置する。 4面体の切子面の無い側は、3個の別々なピラミッドの半面像晶で修飾されていない先端であるが、 3回軸の所に位置する。4面体切子面を持つ3回軸の先端は、圧縮時、負極になる側であり、真の 半面像晶の修飾された先端に相応する。

D.
従って、これまでに得られた全ての事実は、一致して以下の事を示している。 取り上げた非電導性で、傾いた面を持つ半面像晶の全ての物質では、半面像晶切子面の位置と、 分極電気の方向とには、同じ関係がある。

半面像晶切子面――それは軸の組み合わせで最も鋭い角度を形成しているもの――で 終わる電気分極軸の先端は、圧縮によって正に、膨張によって負に帯電する。半面像晶切子面を 持たないもう一方の先端――基底面で形成されているか、もしくは、軸の組合せで最も鈍い角度を 形成している半面像晶切子面から形成されているもの――は、圧縮によって負に、膨張によって正 に帯電する。

実験の物理的意味を実感するために、ありふれた表現で、簡単にまとめると、以下のように なろう:半面像晶の最も鋭い先端は、圧縮時に正極に相当し、最も鈍い先端は、圧縮時に負極に 相当する。

[注釈]
(1)Mallard:Ann des Mines 〔年不明〕

[論文名]
Sur l'électricité polaire dans les cristaux hémièdres à faces inclinées. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, présentée par M . Desains.
[掲載誌]
Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences,91(1880) 383
[所蔵]
The British Library
[訳]
科学技術振興事業団

トルマリンを加圧した時の電気の出現則

[ジャック・キューリーおよびピエール・キューリー(1)によるノート(紹介者:フリーデル)1881年]

最初に、トルマリンを加圧した時に現れる電気について、我々の実験から得られた法則について述べ、 続いて、スペースの関係で簡潔に、実験方法と、この法則を実証した時の制約条件について述べる。
I.トルマリンの両端面には、向きの違う同量の電気が現れる。
II. 或る圧力で出現する電気量は、同量の減圧で出現する電気量と、同量で、逆向きである。
III. この量は圧力の変化に比例する。
IV. この量はトルマリンの長さによらない。
V. 単位面積当たりの圧力変化に対して、この量は面積に比例する。
法則IVとVを導き出した実験結果を単純に表現すると、“同一の圧力変動に対して、出現する電気量 は、トルマリンの長さによらない”。

研究したトルマリンは、主軸に平行なプリズム形で、両端の基底面を薄い錫箔で覆い、その上を非常 に厚いガラス板で保護し、木製のてこの間で結晶を圧縮した。一端の錫箔は、アースにつないで、 他端をThomson-Mascut電気計の針につないだ。圧力変動で得られる変化は、出現した電気量に比例 する。上記の測定条件下では、錫箔の容量は、電気計の容量と比べて、常に省略できる。

トルマリンは、透明、無色、緑、黄色、またはうすいバラ色のものは、一般には、いずれも完全な 絶縁体であり、我々の定量的な実験では、これらのものだけを用いた。どんな色がついていようとも、 トルマリンは、電気現象という観点からすれば、ほとんど同じ挙動を示した。例え、差があったとし ても、多分、とても小さいものである。とはいえ、常にそうである事を確認すには、かなりの数の 試料を試してみる必要があろう。

トルマリンでも、多少とも不透明なものや、黒いものは導電性がある。黒いトルマリンでは、 電気計の針の瞬間的な動きは、同重量の透明なものの動きと比べて、約1/5であったし、それも 急速に零になった。

振れが等しいとか、比例係数が同じかどうかを確かめる必要はあろうが、測定誤差原因が省略 できる事を考慮すると、測定誤差は測定値の1/20程度である。我々はこれ以上に精度を高めるのは、 不必要と考えたが、発表された法則の精度は、用いたトルマリンのサイズ差にもよるからである。

試料は、同一端面積で、長さは、0.5〜15mm、即ちサイズ比、1〜30のものと、同一長さで、端面積が、 2mm2〜1cm2、即ちサイズ比、1〜50のものを用いた。実験概要は既に説明した 通りで、得られた法則は、ほぼ極限と考えると、長さを倍にした時の、真の法則との差は、 6/100以下、面積を倍にした時の、真の法則との差は、1/1000以下と確認できる。

1mm3の小片は、同一圧力下で、体積のある数cm3の塊と同じ電気量を 発生する。結局、1cm2の端面に、数kgを加えて得られる効果は、 1cm2の端面に100kgを加えて得られる効果と、ほぼ同じである。

ゴーガンはそのすばらしい仕事の中で、トルマリンの熱電気現象の単純さを証明した。 彼の発表した法則は、このノートの目的である法則にも適用できる。もし、我々が提唱した仮説、 即ち、圧力変化でもたらされる現象と、温度変化でもたらされる現象は、原因が同じ――トルマリン の軸方向の伸び縮み――である事を認めるならば、一方の法則を、他方に適用し得る事を、たやすく 理解できよう。

[注釈]
(1)Comptes Rendus: No2、1880年8月16日

[論文名]
Lois du dégagement de l'électricité par pression, dans la tourmaline. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, présentée par M . Friedel.
[掲載誌]
Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences,92(1881) 186
[所蔵]
The British Library
[訳]
科学技術振興事業団

トルマリン及び傾いた面を持つ半面像結晶の電気的現象について

[ジャック・キューリーおよびピエール・キューリーによるノート(紹介者:フリーデル)1881年]

I.
トルマリンに関する優れた論文を発表してから、数年後に、ゴーガンは熱電気の現象論を発表 した。彼は、温度変化中のトルマリンを、非常に内部抵抗が大きく、かつ非常に起電力の大きい熱 電堆に模して考える。似たような熱電堆の存在し得る事を示すために、彼は小さなビスマス錐と銅錐 を交互に頂点と頂点、底面と底面を溶接したものを作らせた。 この温度を変えていくと、狭い溶接面は広い溶接面よりも、より速く影響されるので、このシステム は、瞬間的には、一対の熱電堆を構成する事になる。ゴーガンはトルマリンの各分子配列を、これで 模した。実際、よく分かるように、この概念で、彼が打ち立てた定量則を理解できる。しかしながら、 この概念は、受け入れ難い点もあるように思われる。第一に、これでは加圧による電気現象を説明で きない。第二に、電気の出現は、トルマリンのプリズムの側面ではなく、底面だけで見られると言う 事実と一致しない。このことは、以下の実験で、実証できる。

もし長いトルマリンの二つの端面を錫箔で覆って、これをアースした状態で、電気を出現させたと しても、側面での電気の出現を、電位計につないだ金属環で確認することはできない。金属環をごく 端面近くまで近づけたとしても、状況は変わらない。これに対して、側面を錫箔で覆って、それを アースしても、しなくても、端面に出現する電気量は変わらない。

ゴーガンは、二つの端面中、一つは孤立させ、もう一つはアースして、結晶の中央部分に白金線を 巻いて、それを電位計につないだ。彼は、冷却中に、ここに孤立した端面と同じ向きの電気が出現 する事を確認した。この実験は、前述のそれと何ら矛盾するものではない。孤立端に出現した電気は 結晶の先端層に帯電して、そこがコンデンサーの極板の働きをする。この場合、結晶が薄い絶縁層と なる。同じ向きの電気が白金線にも出現するので、反対向きの電気が出現し、蓄えられるが、これを 証明するのは、簡単である。そのためには、白金線の電気を逃がして、これを電位計につないでから、 それまで孤立していた端面の電気を逃がしてやればよい。そうすると、貯まっていた反対向きの電気 は、白金線を通して電位計に変化を与える。

II.
1825年以降、多少とも漠然とながらベクレルやホーブスなどによって提唱されていた分子分極 の仮説によれば、この現象を、ゴーガンの説以上にうまく説明できる。更に以下にトムソンの説を 紹介する:彼の考え方は、かつてのホーブスの説と同じように、分子は、いつも分極しており、 トルマリンの表面に集まっている電気層は、外からみれば中性化している。熱は分極状態に変化を もたらすので、中性状態が崩れる。

我々の考え方も似たようなもので、分子が分極しているという考え方は、電気の出現が端面だけに 限られるという事実と完全に一致する。実際、母線に平行方向に、一様に分極した分子からなる 円柱は、二つの端面上に帯電した2層によって置き換え得ることがわかる。

さてここで分極の原因とその変化を、より明確化してみよう。その際、仮定として、分子層は積み 重なっていて、相対峙している分子層の2面間には一定の電位差が存在しているとする。当然、面は 帯電するが、この量は分子層間の距離で変わってこよう。ここで何らかの方法(圧力や温度変化)で、 この距離を変えてやれば、帯電した電気量は変化しよう。

上記のモデルを考えるのに適したシステムは、銅―亜鉛(ヴォルタ電池の要素)を溶接した薄片を、 同一厚さの空気層をはさんで、同一方向に積み重ねたものであろう。

さて、ここで、空気層の厚さをe、銅―亜鉛接点の起電力をνとしよう。

最初に、全ての薄片をアースしてから積み重ねると、これらの層が十分に接近している限り、 隣りあっている2層の、相対している各面に貯まる電気量は、q=v/4πe で 表される。もし層間の距離か変わると、この量は、
q+△q=v/4π(e+△e)
両端にある薄片は、向きの違う電気量、△q=v/4π[△e/e(I+△e/e)] を外へもらす事になる。内部に位置する薄片については、各片の中で現れた向きの違う電気が、 中和してしまう。我々が興味を持つ場合である各片が絶縁されている時でも、結果は同じである。

ここで最後の式で1の後に出てくる項、 △e/e を省略するとすると、出現する電気量は、 隣り合った層間の距離に比例し、表面積に比例し、層の数、即ち、試料柱の厚さには無関係とい う事になる。この法則こそ、トルマリンの実験で得られた法則に他ならない。

III.
我々以前に提議された仮説を検証して、現象の解釈で、我々にとって最も確からしい と思われるものを数式化して、結果を求めた。もっとも、仮定には、疑問点もあるが、それは無視 した。

出発点とした仮定は、隣り合った2層の相対する面の間には、一定の電位差がある。

トルマリンは、合成された物質であり、結晶化している分子の、異なった部分は、異なった物質から 作られている。これで二つの分子の相対している面での、電位差を説明できよう。

さて物質が均質であれば、分子の形状だけが、上記仮説を正当化するための十分条件と考えられる。 更に、以前の説明よりも、この説明の方が、実験結果とより良く一致するといい得る(通常の考察は、 多分、より分子自身へと適用されよう)。

実際、どんな理論であれ結晶理論では、結晶形の特異性に見られる結晶の非対称性は、分子に原因が あるという点では一致している。とはいえ、我々が示したように、実験した全ての非電導性半面像 物質では、出現する電気の向きは、常に結晶形と関連があり、最も鋭い立体角に相当する端面が、 膨張時に負に帯電する。この一定の関係は、多分、偶然によるものではないだろうし、分子形状と、 結晶の半面像形状の間に、類似性があることを認めれば、以下の考え方に到達しよう。即ち、分子の 尖った先端は、分子の反対基底面に対して、上記で説明した類似例で、常に銅に対する亜鉛の役割を 演じている、言いかえれば常にプラスに帯電していると。従って、材料の特性は、思考の線上には 入ってこず、分子の形状が、圧倒的な影響力を持つように思える。

[論文名]
Sur les phénomènes électriques de la tourmaline et des cristaux hémièdres à faces inclinées. Note de MM.JACQUES et PIERRE CURIE, présentée par M . Friedel.
[掲載誌]
Comptes rendus hebdomadaires des séances de l'Académie des sciences,92(1881) 350
[所蔵]
The British Library
[訳]
科学技術振興事業団
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